最近、リスキリングって言葉をよく聞くなあ。あれってどういう意味?
リスキリングとは、「新たな職種や職務に適応するために全く新しいスキルを学ぶこと」だそうよ。これは日本だけじゃなくて世界中が取り組んでいるらしいわよ。
異動にでもならなければ、今まで通りで大丈夫じゃないの?リスキリングなんてしなくていいと思うけど。
変化が激しくなってきたから、今までのスキルプラスアルファが必要になってきたのよ。逆に取り組んでいかないと取り残されて、リストラの対象にもなりかねないわよ。
そうなのか?じゃあ、まじめに考えてみる必要がありそうだな。
転職や定年後も含めたキャリアパスを考えてやってみては?国の補助の制度もあるから、私はそれを利用するつもり。
最近なって、「リスキリング」という言葉がよく聞かれるようになりました。会社内でも使われているところが多くなっていると思います。
「リスキリングとは」で検索するといろんな解釈があるようですが、経済産業省の資料によると
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、
必要なスキルを獲得する/させること
とあります。
特にDXの時代になってこれまでの知識や技術が通用しなくなってきました。さらにはデータの活用による業務の効率化やAIを活用するためのITスキルの人材が不足してきている背景もあります。
50代だと自分にはリスキリングは関係ないと思うかもしれませんが、これからの時代はリスキリングをしないと、定年後の再雇用制度があっても今と同じ会社で働けないかもしれないですし、もっと言えばリストラの対象になってしまうかもしれません。
もし転職を検討している人にとっても、リスキリングは重要です。
ここでは50代のリスキリングとリスキリングと合わせた転職などについて紹介していきます。
50代が直面する定年後の不安
現在は、大企業も含めて多くの会社が60歳で定年を迎えます。30年前の60歳と今の60歳ではだいぶ状況が変わり、多くの人が60歳でも引き続き働いています。
再雇用制度のある会社のサラリーマンの多くは、定年後も同じ会社に再雇用されて引き続き働く選択をしますが、給与はこれまでと比べてが大幅に減少します。
それでも再雇用されるのは恵まれている方で、そのような制度がない会社もありますし、会社の状況から再雇用されるのは数人というケースもあります。
さらには2022年に登場したChatGPTなどの生成AIが少しずつ職場に取り入れられるようになり、いくつかの業務では私たち以上の成果を出すことも見られるようになりました。
生成AIの利用は、現状では課題もあり浸透しているところまではいってませんが、生成AIの能力はすでに十分に認識されています。今後は、生成AIの活用によって私たちの仕事が大幅に削減されるだけでなく、今までの仕事のやり方を変えてしまう可能性すらあります。
このような環境の変化により、定年後の再雇用制度のある会社であっても、制度が変わってしまう可能性もあります。定年後も働きたければ転職も検討しなければいけませんが、50代でも大変ですし転職先でも上記で挙げた状況はかわりません。
リスキリングの重要性
上でも述べたように、定年後も働きたいのであればリスキリングは必要不可欠です。
再雇用の制度があなたの会社にあれば、その制度を活用して、その会社で引き続き働きたいと思う人が多いと思います。給与が少なくなったとしても、職場の環境はすでに知っているので安心感があります。
他社への転職の場合と比較すると、自分のわかる範囲の仕事がほとんどなのでストレスになることも少ないでしょう。
しかし、上でも述べたように現在の状況を考えると、必ずしもこれからもこのような選択ができるとは限りませんし、これからは同じ仕事であっても仕事の環境がめまぐるしく変わっていきます。
まだまだリスキリングという言葉は聞いていても身近には感じないかもしれませんが、仕事の環境が大きく変わってくるかもしれないというのは感じられると思います。
数年後にはリスキリングしているのが当たり前で、リスキリングしていない人は変化についていけないし、会社も不要であると判断してきます。
20代だからとか50代だからとか年齢にかかわらず、スキルを常に更新しつづけていれば会社でも必要とされるでしょうし、転職をするにしても他との差にもなります。
自分では常にリスキリングをしていたとしても、会社の状況などによりリストラにあってしまうかもしれません。
ただ、そのときに必要となのが今まで培っているスキルです。どんなスキルをつけるにしてもそれは決して無駄にはなりません。
50代におすすめのスキルは?
リスキリングで学ぶ領域はたくさんあり、個人ごとのスキルによっても何を学ぶのがよいのか人それぞれです。
今までも年に1度ぐらいはスキルの棚卸しをしているかもしれませんが、自分の持っているスキルと求められているスキル、自分の身に付けたいスキルなどいろんな面から考えてみるといいでしょう。
定年後のことを考えて、弁護士や税理士などの資格を検討する人もいるかもしれませんが、ハードルも高いですし、余程の覚悟がない限り、そのような資格を取るのは現実的な選択肢ではありません。
上でも触れていますが、最近はDXを推進していくことに企業も国も一体となって取り組んでいます。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」を略した言葉でデジタル技術を駆使して作業の一部だけでなく、社会や暮らし全体がより便利になるように変革をしていく取り組みのことを言います。
NRIの記事によると、世界デジタル競争力ランキングで日本は63か国中27位、ビジネスにデジタル技術を活用する人材の項目については最下位いう結果となっており、特に力を入れている理由となっています。
こうした状況もあり、企業も国もIT人材の育成にチカラを入れており、この分野でのスキルを上げることを優先的に考えることをおすすめします。
Microsoft Ofiiceは必須スキル
DX化の中にはワード、エクセルの操作スキルは入りませんが、もし使えないのであれば、たとえ50代で他のスキルを持っていたとしても、身につけておくべきスキルです。
事務処理がメインの職場でなければ、今まではワードやエクセルが使えなくてもなんとかなったかもしれませんが、今では、ワード、エクセルなら基本的な操作はできてあたり前です。むしろできないとなると将来の選択肢がぐっと狭まってしまいます。
資格を取得することがスキルの習得ではありませんが、資格取得を目標にすることで進捗が把握しやすいですし、取得すればスキルがあることを理解してもらいやすいのでおすすめします。
ワード、エクセルであれば、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)をめざしましょう。MOSはMicrosoft Office製品の知識・操作スキルを客観的に評価・証明する資格試験です。
基本的な簡単な資料作成や表計算はもちろんですが、エクセルを使いこなせればデータ分析なども相当なレベルまで可能ですので、まさにDX化にも適しています。
すでにある程度のOfficeのスキルがある人でも、MOSの資格取得を目指すのはおすすめです。
Officeを使っている人のほどんどが自己流だと思いますが、MOSの勉強をすることで、今までと比較してより効率的な操作ができるようになったり利用できる範囲が広がります。
そしてなによりもスキルがあることの証明にもなります。
プログラミングスキル
IT分野は、DX化を推進していることもあり人気にもなっています。基本情報処理などをはじめとする公的な資格から、ネットワーク機器のベンダやソフトウェアのベンダ・社団法人などが提供する資格などさまざまです。
これらIT系の資格をとったとしても、現在その分野で仕事をしていない限りは転職に役に立つことは期待できないでしょう。また業務とほとんど関係ないベンダの資格をとっても活かせないです。
基本情報処理などの基礎的な資格であれば役にたつことがありますが、そうでなければ使わなければどんどん忘れてしまいますし、進化のスピードが早いので日頃使わない知識はすぐに陳腐化してしまいます。
IT関連であれば、プログラミングのスキルを身につけるのはおすすめです。
もし、プログラミングスキルを身につけるのであれば、資格取得ではなくオンラインやオフラインのスクールでスキルを身につけることをお勧めします。市販の本などでも学べますが、未経験で市販の本で身につけるのはかなり難しいといえます。
プログラミングのスキルを身につけることができても、50代でIT系への転職はむずかしいかもしれません。転職を希望するのであれば、転職サポートのあるスクールで、受講する前に確認することをおすすめします。
それよりも、プログラミングができることによって、すでに持っているスキルを活かす工夫をした方が現実的です。
特にプログラミングのスキルを使って業務の効率化をすることは、自分のためだけでなく会社に対しても貢献できます。DX化のための人材として認められれば、その後の再雇用などに期待できます。
会社でそのスキルを活かすことができなくても、プログラミングのスキルは副業で活かすことができます。特にクラウドソーシングであればプログラミングのスキルを活かす案件も数多くあります。
スクールの中には、クラウドソーシングで案件を獲得して副業できるようにする講座も多くあります。
リスキリングの具体的な方法
リスキリングを実践するためには、大手の企業の場合はそのための制度が整っていると思います。社内にある内部研修や教育プログラムを積極的に活用していきましょう。
会社の制度であれば、個人で申し込む研修よりも費用が抑えられるのがほとんどです。場合によっては全額会社で負担してもらえることもあるでしょうから、積極的に活用しない手はありません。
会社にそのような制度がなければ、研修や通信教育、スクールなどを利用することになります。研修やスクールもコロナ禍以降は、オンラインで実施されるものも増えてきているので、取り組みやすくなってきています。
特にオンラインのスクールは、ビデオだったり、ウェブのテキストによるものが多くなり、自分のペースで取り組むことができます。わからないところもチャットですぐに回答が返ってくる環境を構築しているスクールもあるので効率的に学習できます。
リスキリングでネックになるのが費用です。MOSの資格のための教材や受験料なら数万円程度ですので少しやりくりすればなんとかなるぐらいの金額ですが、プログラミングのスキルを身につけるとなると安くても10万円程度、サポートのしっかりしたところになると50万円を超えるようなスクールも普通です。
費用負担を少しでも減らしたいのであれば、補助金や給付金などの制度を利用する方法があります。
たとえば、教育訓練給付制度であれば、修了すれば支払った学費の20%がハローワークから給付されます。上であげたIT分野に限らずいろんな分野で給付の対象の講座あります。自分が条件に合っているのか、自分の受けたい講座が対象になっているかなどを確認してみてください。
専門実践教育順練給付金制度の対象講座や、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業認定講座であれば、もっと大きな金額を支援してもらえます。
教育訓練給付制度は、厚生労働省の教育訓練給付制度のサイトで詳しい内容が紹介されていますし、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業もこちらのサイトで詳しい内容が紹介されています。
特にリスキリングを通じたキャリアアップ支援は、年齢制限はなく転職を前提にしていますので、未経験からでも転職できる可能性が高いです。転職が必須というわけでもないので転職を考えている人はぜひ検討してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、50代のリスキリングについて紹介しました。50代は定年までゆっくりする時代は終わり、技術の進化も早くすぐに陳腐化し、リストラも当たり前になった現在では常にリスキリングし続けなければいけなくなりました。
パソコンの利用がどんな分野でも当たり前になっている現在では、最低でもOfficeソフトが普通に使えるぐらいのスキルは転職するにしてもそのまま残るにしても必要です。
ITの分野は、国としてチカラを入れている分野なので取り組んでみる価値があります。転職の道もありますが、副業でも稼ぐことができるのでおススメです。
給付制度をうまく活用すれば費用負担を大幅に減らすことができるので興味があれば挑戦してみてください。