大企業でも終身雇用制度は崩れてきており、「リストラ」は今やあらゆる企業、業種でも行われるようになりました。具体的に「リストラ」とは呼ばなくても、早期退職は多くの企業で行われ、これはメディアでもよく取り上げられています。
現代では、仕事ができるできないにかかわらず、だれもがリストラに遭遇する可能性がある時代です。もし自分がリストラに遭った場合、その後はどう行動すればよいでしょうか?
この記事では、リストラに遭った際に最初にすべきことや、再就職に行き詰まったら場合の対処法を紹介します。
40代・50代の転職難易度を徹底解説
企業は、40代・50代は欲しがらない
40代ならば「リストラにあっても再就職は比較的簡単だ」と思われる方もいるかもしれませんが、たとえ40代であっても再就職は難しいのが現実です。
企業側はそれほど40代、50代への求人に積極的ではなく、20代、30代の若年層と比較すると求人は相対的に少なくなります。以下がその主な理由となります。
- これからの成長の見込みが少ない
- 給与は多く支払わなければならない
- 高い年齢のため人間関係がむずかしい
どれも納得のいく理由で、私が求人する立場でも同じ理由で高年齢層の人を採用することに消極的になりそうです。
これ以外にも、50代ともなると健康面も不安もあります。健康診断や人間ドックでなにかひっかかっている人も多いのではないでしょうか。
「50代の再就職」の狭き門をくぐりぬくには
これだけのデメリットがある中で採用されるということは、50代である自分には、これらのデメリットを上回るメリットがあることを示すことが必要になります。
「どんな条件でも飲める、給与面、待遇面も大幅に譲歩できる」
のであれば再就職を見つけるのは少しは楽になりますが、現実問題として、待遇は我慢できても給与面については、希望額はなかなか譲歩できないところだと思います。
採用してもらうには、デメリットを上回るメリットがあることをアピールしなければいけません。50代であることのメリットといえば、それまでの経験や実績になるでしょう。
その経験や実績が、新たな環境ですぐに戦力となれることを示すことが大切です。
ただこれもなかなか難しいのが現実です。
資格は武器になり得るか
求人者を判断するには、履歴書などの書類と、面接ぐらいしかありません。
経験や実績は書類で行うことになりますが、これらを具体的に定量的に示すのはなかなか困難です。
書類でアピールできる項目として「資格の取得」があります。
しかし、資格を持っていて有効なのはその資格の取得がむずかしく持っていないと従事できない仕事だったり、業務とその資格がリンクしている場合ぐらいです。
ある実例では、建築重機の関係の資格をいくつか持っている上に、第一種電気工事士、溶接関係、建設CAD関係の資格までもっている方が、ハローワークで100社以上応募したものの、書類選考に残ったのが70社あまりで面接まで行ったのがわずかに20社とのことです。
これだけの資格を持っていても100社以上の応募をしなければならず、しかも思ったような就職先が得られないのですから、再就職がいかに大変なものなのかわかると思います。
さらにそれだけのメリットがある人であっても、それを面接官や採用担当者が見極められないと採用にはいたりません。
「前職でのリストラが再就職を困難することはない」とか「資格を持っていれば、再就職に有利」とか言われていますが、これらの要因も各企業の採用方針によります。
もちろん、あるかないかといえばあるに越したことはありません。リストラされてから再就職までの期間はできるだけ短くしたいのではないでしょうか。
そんな限られた期間を資格取得のために使うよりも、再就職のための対策に時間を使った方が有効だと思います。
サポートを受けながら再就職を目指す
以上のことから、40代であっても再就職はかなりむずかしく、50代ともなれば相当覚悟する必要があります。再就職に応募しても、50代だからという理由だけで、面接の機会すら得られないことも当たり前のように多く見られます。
しかし、決して無理ではありません。あなたの持っているこれまでの経験やスキルを必要としている企業はあります。ただその企業は限られています。
転職エージェントやハローワークなどを積極的に活用していくのは有効です。
特に50代の人にとって、自分をアピールするのが苦手な人は多いと思います。しかし、高いスキルを持っていてもそれを示すことができなければ成功にはつながりません。
休みや職位、福利厚生の待遇面や給与などの希望の条件から、履歴書などの書類でのアピールの仕方、面接対策といった転職に関わる事項に対して、適切なアドバイスをしてくれます。
50代で面接対策というのも気乗りがしませんが、変なプライドとか持って避けていても遠回りするだけです。
転職エージェントの多くは無料で登録して採用まで対応してくれますし、ハローワークも同様です。ぜひ相談してみてください。
リストラの事実を受け入れるのは大変ですし、再就職先を見つけるのも大変です。現実から目をそらしたい気持ちになりますが、それでは解決しません。
ひょっとしたら、次はもっといい転職先が待っているのかもしれません。あきらめずに挑戦しましょう。
50代リストラ後のステップ: 国の制度活用ガイド
失業したらまずは失業保険
もし不幸にもリストラされてしまったら、何も考えたくない気持ちになってしまうかもしれませんが、それでも収入がなくなってしまうのですからいつまでも何もしないというわけにはいきません。
ある程度の期間の収入は、国の制度を利用することで確保できるので利用していきましょう。
まずは、あなたの地域の管轄のハローワークへ受給申請を行いましょう。自己都合であれば待期期間と給付制限期間を合わせた7日+2カ月後となりますが、リストラの場合は、離職の理由は会社都合になりますので失業保険は7日後から支給されます。
失業保険の基本手当を受けるには「就職しようとする積極的な意思がありいつでも就職できる能力があるにもかかわらず就職できない」というハローワークが定めている失業状態であることが前提になります。怪我とか病気などが理由で退職した人は失業保険の対象に当てはまらないので注意してください。
給付される日数は、離職理由と被保険者期間、年齢によってかわってきます。リストラで退職、年齢が45歳から60歳未満、被保険者期間が20年以上であれば330日の間もらうことができます。
失業保険の給付は、前職の給与の50~80%ほどです。前職の給与が少なければその時の給与に対する割合が高くなるようになっていて、たとえば平均賃金をもとに計算した日額が5,110円未満だった場合は給与の80%が給付されます。
この記事を読んでいる方は、40代、50代がほとんどだと思います。この年代であれば日額の最高手当は2023年12月現在では8,490円です。これ以上の金額はもらえないので16,980円以上もらっているとこの金額が上限額になります。
12,580円から16,980円以下まで間に当てはまる人が多いのではないかと思うのですが、その場合は50%になります。
これは十分な額とは言えませんが、新しい仕事が見つかるまで暫定的な収入として役立つでしょう。
住むところがなくなってしまう恐れのある人は
失業保険の他にも経済的に苦しくなって住居をなくしてしまったり、なくしてしまう恐れのある場合は、住宅確保給付金を受け取れる可能性があります。
この給付金は、家賃の負担を代わりにしてくれるもので、住宅の貸主か貸主から委託を受けた事業者の口座に振り込むものです。
住宅確保給付金を受け取れる期間は3ヶ月で、最長でも9ヶ月となっているのであまり長期に受け取れるものではありません。
リストラなどで、家賃が払えないような状況になってしまったのであれば申請しましょう。
生活していけないほどになってしまうのなら
「住宅確保給付金」は、住居を失うおそれのある人に対してのものですが、生活資金に困ってしまっている方には緊急小口資金や総合支援資金があります。
緊急小口資金は、所得が少ない方が緊急で一時的に生計が困難になった場合に、少額の貸付が受けられるもので、会社の解雇された場合でも対象になります。
無利子です連帯保証人も不要ですが、20万円が限度額ですので本当に一時的なものになります。
総合支援資金は、一時的に借りるだけでは困難で生活の立て直しまでに期間が長くなる人に3ヶ月間の生活費を貸してくれるものです。
どちらもいろいろと条件があるので詳しいことは、厚生労働省のコールセンタ(0120-46-1999)に問い合わせてみてください。
再就職に向けた職業訓練の活用
リストラされてしまったら、できるだけ早く再就職先を決めたいと思うのが普通です。
現在の状況では、再就職するにもそれだけのスキルがないと感じるのであれば、公共職業訓練を活用するのも考えてみてください。
公共職業訓練とは、主に雇用保険の受給者が職業訓練によるスキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度です。
40代、50代でリストラになったのであれば、職業訓練を受けても再就職に大きく有利にはならないかもしれませんが、仕事に対する意欲をアピールできるかもしれません。
職業訓練の求職者支援訓練コースには、ビジネスパソコンの基礎のコースがありマイクロソフトのWordやExcelなどのデスク業務に役立つ基本スキルを身に着けるコースもあります。
Word、Excelでの簡単な文書作成やPCの利用は、できて当たり前になりつつあります。
再就職のための貴重な時間を使うことになるので、どちらがよいのかよく検討することをおすすめします。
50代リストラ後の転職 – ハローワークとエージェントの活用法
リストラに遭ったら、失業保険の申請のためにハローワークに行くことになります。
ハローワークは就職支援機関なので、失業保険の申請以外にも、転職の相談や求人情報、書類や面接の添削、指導なども行っています。リストラに遭ってすぐは、なかなかそんな気分にはなれないかもしれないですが、一度みてみるといいでしょう。
同じようなサービスは、リクルートなどの転職エージェントでも受けることができます。
ハローワークと転職エージェントの大きな違いは、自分で求人を探すのが基本となります。自分で求人を探すのは、転職サイトでも同じです。転職エージェントは、経歴や希望条件を踏まえてアドバイザーが求人を紹介してくれます。
ハローワークの求人は、掲載が無料であることから膨大な求人案件を取り扱っているのが特徴です。各地域にあることからその地域の企業が多いのも特徴です。転職サイトや転職エージェントは、首都圏などの大都市の情報に偏りがちなので、地方の企業の情報を集めるにはハローワークの方がいいかもしれません。
転職サイトと転職エージェントは、ハローワークと比較すると求人は少ないものの企業の内容を調査して紹介しているため、ブラック企業などの条件の悪い企業は少なく、求職者もハローワークと比較すると詳細な情報を得ることができます。
どの方法がベストかは一概には言えませんし、実際にはどれも同時に登録することもできます。
もしリストラの影響で自信をなくし、積極的なアプローチが難しい場合は、転職エージェントの利用がよい選択かもしれません。
リストラ後の新しい仕事を見つける際に、何をすればよいのか、どの企業が自分に合っているかを見つけ、それを紹介してくれるだけでなく、面接の準備などもサポートしてくれるのでよい仕事を見つける手助けになります。
転職に関する準備や、転職エージェントに関する情報は、こちらを参考にしてください。
50代リストラ後の職選び – 警備・交通誘導員という選択肢
40代、50代ではリストラ後の転職活動も思うように進まず、いつまでたっても新しい仕事がが見つからないというのも珍しくありません。
どこでもいいから「とにかく新しい仕事を得たい」とのであれば、警備の仕事が比較的簡単につくことができます。
「普通に健康で日本語がしゃべれればたいてい面接で落とされることはない」
とまで言われてます。年齢的も若い人もいれば結構な年配までさまざまですので、よほどの理由がない限りと採用されるでしょう。
採用されれば4日間の法定研修をうけることになりますが、これは3万円前後の手当が受けられます。日当でだいたい1万円程度のようですが、外での警備は天候に左右されるところもあるのものの工事の内容によってはかなり早めに終わることもあったりで拘束時間も意外に短かったりします。
見た目は決していいとはいえないし、ほぼ誰でも採用してもらえる職業なので変にプライドがあると苦痛ですが、慣れてしまうとなかなかいいという人もいるとこのこと。
ただ、40代、50代で警備会社のしごとや交通誘導員をずっと続けていくのも体力的になかなか厳しいものです。警備会社や交通誘導員は特に重いものを持たなければいけないわけではないですが、リストラの前は空調の効いた部屋で仕事をしていた人にとってはきびしいかもしれません。
アルバイトかある程度の期間の仕事と割り切って再就職や起業するための準備期間と考えるのもひとつです。長期になってくると希望があれば事務の方へ代われるというところもあるようですので条件によってはそちらを選択するものありです。
リストラの体験をブログで公開する
リストラに合うのは誰の身にも起こり得ることで、たとえ社長であっても無一文になってしまう可能性はあります。
リストラにあったその後は、つらいことがいろいろあると思います。リストラにあった時のこと、面談にたどりつけない時のことなど、いろいろな想いがたまってきます。
これらの出来事や感情をブログで残しておくことをおすすめします。そのときの様子を書き残すことで、気持ちが冷静になれて、何がよくて何が悪かったのかが判断しやすくなります。
もちろん自分だけが見れるようにしてもよいのですが、ブログなどで公開することで同じような人と知り合えて互いに励ましあったりできるかもしれないですし、採用担当者の人が興味を持ってくれる可能性もあります。
景気もなかなか回復しない現状では、リストラはまだまだ減ることはありません。
リストラにあったリアルな経験は、同じようにリストラにあってしまった人や、なりそうな人にとって貴重な情報であり、そういった人のアクセスにより、収入が得られる可能性もあります。
はじめから、収入目当てでブログを書いていくと、思っていたほどではなかったという結果かもしれませんが、アクセス数を増えれば、アドセンスで稼ぐこともできますし、自分経験の中で使ってみた商品やサービスなどを紹介していけば紹介料として稼ぐこともできます。
おわりに
40代、50代の再就職の状況や、実際にリストラにあってしまったらどうするかを解説しました。
40代、50代の再就職はかなり困難であること、長期戦になることも考慮して失業保険は有効に使うことを説明しました。再就職までに時間をかけられない人には、警備員などの仕事を紹介しました。
失業保険は、失業してから申請までの間が長いと全額受け取れない場合もあるので注意が必要です。
40代、50代でリストラにあって自信がなくなっている上に、再就職しようにもなかなか新しい仕事が見つからない状況が続くと、ますます気が滅入ってしまい次の行動ができなくなってきます。
そんな再就職ができない状況の苦痛や不安は、ブログなどの文章に吐き出してみることをおススメしました。お金に直結しないかもしれませんが、文章に吐き出すことで精神的に落ち着くと、多くの方が言っていますし、研究もされています。
アウトプットすることで、気持ちを共感してもらえたり、よい縁に恵まれるかもしれません。
リストラされた上に、その後の再就職もうまくいかないとなると精神的にはかなりしんどいと思います。自分ひとりでは乗り越えられないと思ったら、就職エージェントやハローワークなどの人の手を借りながら乗り越えていきましょう。
コメント